2019年9月20日 (金)

花のお山のお掃除隊 その2

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 さてさて、お山のお掃除隊の続き・・・。

 原生林の残るこの山は、苔むした地面が広がる、まるで『もののけ姫』の世界のような風景も見られます。 ころころした木霊がひょっこり、木の陰から現れそうな気もしますね。

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 これはノコンギクだと思うのですが、確証はありません。 園芸品種などは紫色をしていますが、野生のものは純白のもありますからたぶんそうでしょう。

 うーむ、もっと詳しく観察すればよかったな。 確認しにまた山に登るのは、肉体的にもツラいところ・・・。

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 『枯れ木に花を、咲かせませう~』 ではないけれど、まるで木全体に白い花が咲いているような・・・。

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 これは『サルオガセ』などの地衣類なのです。 寄生しているわけではなく、樹皮にぶら下がって生きる生物です。 なんとも不思議な光景。

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 遊歩道を区切っているロープにもびっしり。 生命力ってスゴイですね!

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 ナギナタタケも見つけました。 少し前の記事では、赤いベニナギナタタケを紹介しましたが、こちらはイエロー。

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 個体的にも随分大きいものもありました。 こりゃほんとに長刀・・・いや、薙刀です。 

 他にメンバーもいるので、ゆっくり写真を撮ることもできず、ちょっと物足りませんでしたが、また一人で登って思う存分写真を撮ってきたいと思います。

 

 さて、お待ちかね? 試食コーナー~!

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 取り出したのはガマズミの実。 『木の実草の実味見の会』の会長(といっても一人しかいませんが)である私は、さっそく口にポイ!

 うみうみ、もがもが・・・。

 ぐひゃっ! 渋い! まずひ! ぺっぺっ・・・。 あー、またハズレ(/o\)

 おあともよろしくないようで・・・。

 

 【考察タイム】

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 前回載せたマイヅルソウの実もそうですが、見た目は甘そうだけど、不味いものが多いです。 それはなぜかという疑問に、ある仮説を立てた方がいます。

 前提として、まず自然界には赤い実が多いということ。 これは葉の緑色の補色となって鮮明なコントラストになっているのではないか。

 イヌやネコの色覚は赤い色を区別できませんが、鳥は人間と同じように赤を識別できます。 赤はその鳥類に十分アピールできる色と言えます。 実が甘く美味しければ、鳥たちは実をどんどん食べて種をまき散らせてくれるはずに違いありません。

 それなのに私が吐き出したように、不味いものも多いのはなんでだろ~。

 ①経済説  実を美味しく・・・つまり栄養価を高くするには相応の栄養分を実に注ぎ込まなくてはなりません。 自分が成長するための栄養を実にどばどば配分していれば、結局のところ植物にとってはかなりの負担となり不経済です。

 安価な合成物(つまり、あまりエネルギーを消費しない)アントシアニンの色素で赤くしておけば、外見よろしの不良品だったとしてもごまかせます。 鳥はその赤い色で飛びついてしまいますので。 (人間にも多そうですが^^;)

 

 ②わざと不味くしている説  美味しければ、鳥はバクバク食べてしまって消化できない種は一か所に一気に出す!(笑) そうなると、広く種を散布するという植物の繁殖の目的が若干損なわれます。

 不味ければ一気食いはなくなり、結果数多くの鳥たちが食べることができるし、また不味かったことを忘れてしまった鳥がまた食べる。 そんなことで時間的にも空間的にも広く種をばらまくことができるのではないでしょうか。

 

 ・・・という仮説ですが、果たしてなにが正解なのでしょう? 簡単に答えをくれるほど、自然界は単純ではないですね。

 

 【参考文献 したたかな植物たち 多田多恵子著 ㈱SCC】

 

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2019年9月19日 (木)

花のお山のお掃除隊

 清々しい朝・・・透き通るような秋の空気はいいですね。 それでも太陽が昇りきると、気温がぐんぐんと上がって夏が未練がましく顔を出します。

 でも、晴れてよかったな。 週末から天気が下り坂なんで、済ませられることはどんどんやっておきたいものです。

 さて、平日なのに今日は『ネーチャンネーチャーガイド』の研修日。 見習いネーチャーガイドの私は、言われるままに集合場所へ向かいました。 ほんと、ネーチャーよりネーチャンの方がいいんだけれど、これも世のため人のため。

 稲刈り作業でまだ疲れの残っている体で、山登りです。 本日はガイドをするのではなく、登山道に点在する簡易トイレのお掃除なのでした。

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 向かうは櫛形山山頂。 この山は原生林がまだ多く残り、見上げるような巨木も各所に点在しています。 これはダケカンバの巨木。 ちょうどメンバーが前を歩いていたので、その大きさが想像できると思われます。

 またこの山は花が多い事で知られていましたが、近年はシカの食害(ばかりでなないでしょうが)で、めっきり減少。 防獣ネットを張るなどの保護対策で、ようやく少しずつ復活しているようです。

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 トリカブトは至る所で咲いています。 妖しいイメージのあるトリカブトだけど、やはり魅力たっぷり。

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 シカは、このトリカブトの葉まで食べてしまうという事を聞きますが、毒でやられないのでしょうか? 『毒を食らわば皿まで』なんでしょかねー?

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 ぽくぽく歩いて山頂へ・・・。 2,000mを超える山なんで、空気は冷たく休んでいると寒くなってきます。

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 山頂を過ぎ、『裸山』から『アヤメ平』へ・・・。 ここの休憩所に、トイレ掃除の道具やタンクに溜めておく水があります。 それを持って、ちょっと離れた簡易トイレに向かいます。 ゴシゴシ・・・。

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 足元を見ると、マイヅルソウの実が赤く熟していました。

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 真っ赤に熟す前は、斑のあるウズラの卵のような感じです。 大きさは5mmくらいでしょうか。

 見るからに美味しそうなルビーのような実。 さっそく口に入れてみました。

 ぷちゅっ! ん? あまり味がしないなあ・・・。 いや、そのうち苦みが広がってきました。 うわ、まじい、ぺっぺっ! こりゃダメだ。

 見た目はいいのに味はいかん。 まるで〇〇さんの料理のようではないか・・・(誰でせう^^;)

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 帰路に向かい、『裸山』をめぐるとこんな標識が・・・。 え? ここからいくルートがあるの? と思ったら、この方向に山が見えるよということでした。

 あいにく富士山方面は雲の中。

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 北岳方面は、山頂がちょっぴり見えるだけ。 うーむ、残念。

 

 他にも様々な発見がありましたが、それは次回に・・・。

 

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2019年1月26日 (土)

進撃の巨木

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 いきなり怪しい絵・・・。
 
 これは、知り合いの土建屋のMっちいに似ておるぞ。 土曜日はゆっくり体を休めようと思っていたのに、予感通りMっちいからヘルプが。
 
 『植木の関係だけど、植木屋さんが一人しかいん。 手伝って欲しいんだけどなー』
 『まったくー。 なんでー』
 
 今までMっちいに頼まれて、楽な仕事はないからなあ。 警戒しながらも、引き受けてしまう私でした。 
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 現場に着いてみてびっくり。 何これ?
 
 ある役場の敷地にある記念樹である桜の巨木を、どっかの公園に移植するとのこと。 すでに枝を払い、根回ししてあるのですが、とにかくデカい。
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 根回しの直径は、長い所で2mか・・・。 こりゃ、にわか植木屋さんの扱えるレベルじゃないじゃん。 また、Mっちいにダマされた。
 
 『ダイジョブ、ダイジョブ。 レッカーくるから』 出た! いつもの、Mっちい節だあ。
 
 プロの植木屋の『もーちん』と、推定重量は6トンと見積もりましたが、それが誤算の始まりでした・・・。
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 ムダ話しているうちに、25トンのラフタークレーンが到着。 やはりデカい。 
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 迫力満点の雄姿。
 
 運搬トラックが来るまでに時間があるので、運転席に乗り込ませてもらいました。
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 一般の方は、まず見ることのないであろう運転席の様子。
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 左上のモニターに、クレーンの状態(角度、長さ、懸架重量など)が表示されます。
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 右側のパネルには、アウトリガーなどの車両の状況を表示。
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 後ろには意外や高級?スピーカーがドンと。 ロック聴きながら仕事は・・・できないな。
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 Mっちいが、撮ってあげるよと言ったので、記念写真?をパチリと。 わはは、ホントに記念になったわい。 あまりこんな機会はないからね。
 
 さてさて、遊んでばかりではいられないな。 実際に吊り上げ作業になってびっくり。 8トンの荷重をかけても上がりません。
 
 10トン超えの荷重でようやくずれる程度で、誤算が顕在化してしまいました。 これは、持ち上げられてもトラックに乗せるまでには無理があります。
 
 ということで、急遽倍の50トンクラスのラフタークレーンを呼ぶことに・・・。
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 一回り大きな怪物到着。
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 タイヤの大きさだけで、私の肩くらいあります。 とすると直径1m50cmくらいか。
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 みしみし音を立てながら上がった巨木は、なんとかトラックの荷台へ。 そして移植先の公園に向かいます。
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 なんたら公園に到着。 ここからまた一仕事。
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 『怖いよう・・・。 危ねーよう・・・』 正体不明の彫刻?も縮こまっています。
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 半日がかりで梅の花がほころぶそばの移植先に、ようやく収めることができました。 やれやれ・・・。
 
 ここまでの道のりは、トラブルあり試行錯誤ありで、決して平穏ではありませんでした。 

 それでも、様々な困難を乗り越えてしまう人間の知力に、ちょっぴり感銘を受けた一日でありました。
 

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2018年10月13日 (土)

老松奮闘記

 今回の樹木伐採は、老松でした。 河川敷にあるのですが、長い年月を経てかなりの巨木に。

 虫か何かの影響でしょうか、すでに枯死しています。 強風などで倒伏しかねないということで、撤去の対象となりました。
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 辺りは清涼な水の流れる美しい渓谷。 そこへ武骨な車両が次々と到着しました。
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 私が転がしてきたのは、22mの高所作業車。 思ったよりデカく、狭い道では曲がるときに緊張が走ります。 
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 バスケット(人が乗り込む所)がかなり出っ張っているので、右左折時に電柱などにぶつけそうです。

 ようやくお土産屋さんの駐車場に着きました。 ふう・・・。
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 反射して見えなくなってしまっていますが、前進6速まであるミッションなので、戸惑う事しかり。
 
 最初は加減がつかめず、2速から3速に入れようとしたら、5速に入ってしまいエンストしかけてしまったぞ。 

 他にラフタークレーン(ホイール付きのクレーン専用車)、ダンプカー2台、Wピック(シートが2列あるトラック)が続きます。
 
 ダンプカーから油圧ショベルをおろして作業開始。
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 これが対象の老松。 22mの高所作業車が目いっぱいで届く高さだったから、20mは軽く越しています。 川の斜面から伸びている部分もあるからね。
 
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 私は高所作業車は10m未満までの資格しかないので、乗り込むのはプロのオッチャン! ここまでくる運転だけで済みました。
 
 よかったー。 資格があれば、頼むわ~なんて言われていたろうな。 なんせ危険だから(笑)
 
 見ていてもぐらぐら揺れているので、乗っているのはさぞ怖いだろーなー。
 
 『オッチャン!、 頑張って~。 落ちたら拾いに行ってやるから安心しろ~』 みんな勝手な事ばかり言ってます。
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 てっぺんにワイヤーを掛け、クレーンで吊りながらチェーンソーで切ります。
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 こんな感じで、ダルマ落としの反対的?に切っていきます。 地面に下したら、ダンプに積める大きさに細かくしていきます。
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 最後の幹。 直径70cmくらい。 すっかり枯れている状態なので、あと数年で倒伏しちゃったかな? ちなみに、この老松の総重量は2.5トンでした。 枯れていたので、想像より軽かったかも。

 枯死しているとはいえ、時を経た巨木を切るのはやはり寂しいものがあります。 切る前に、お酒と塩を撒いて手を合わせたけれど、それでもなー。
 
 やはり適切な機械があると、作業は早いものです。 ここの作業は半日で終わりました。
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 トリカブトが咲いていました。 樹木の伐採でちょっぴり下がった私のエネルギーメーターが若干回復。
 
 しかし、私のスマホではなかなか思った所にピントが合いません。 土建屋さんのお手伝いに大きいカメラを持ち歩くわけにはいかないので、今度コンデジでも買おうと思います。 これらのバイト代でね。

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2017年11月 3日 (金)

カキえもん

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 先日雪化粧をしたばかりの富士山は、連日の暖かさでまたすっぴんに・・・。 いきなり冬のように寒くなったり、今日のように小春日和になったりと、天気も目まぐるしく変化します。
 
 それでも周囲の山々は、一年で一番色彩の豊かな絨毯を敷き詰めていきます。 
 
 もう11月。 普段あまり気にもとめていない晩秋の景色に、はっとするほどの美しさに気が付くことが多々あります・・・。 
 
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 すでに実がかなり落ちてしまいましたが、こちら県指定文化財(天然記念物)の『中野の柿』。 家からすぐのところなんですが、たまにしか目を向けないなあ。
 
 古くからある在来種で、『エブク』とかいう種類だそうな・・・知らんし(^-^;
 
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 ある資料によると、樹齢約500年ということ。 500年前というと戦国時代ではありませんか。 群雄割拠した時代を、この柿の木は生き抜いてきたんですね。 
 
 武田信玄がこの柿を食べたかもしれません。
 
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 おや、熟した実をついばんでいるカラスくん。 推定年齢5年。 よくみると首の回りが白くなっています。 へえ、真っ黒じゃないのもいるんですね。
 
 柿というと、なぜか酒井田柿右衛門を連想してしまいます。 まだうら若き少年?の頃、歴史の授業で印象に残った事柄のひとつです。
 
 ぼく、カキえも~ん・・・。 そう言ったかどうかは歴史の謎です。

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2013年3月 3日 (日)

齢1000年・・・

今日は日差しは弱かったけど、まずまずの天気。

垣根のレッドロビンに、またまた斑点病が現れてきたので、剪定をして殺菌剤を散布しました。でも、ちょっと飽きたので近くの巨木を見に・・・。

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これは「三恵(みつえ)の大ケヤキ」と言われる、国指定の天然記念物。三恵とは、過去ここに三恵村があったからだそうな。

推定1000年だけど、その長い年月の間に自然の猛威により主幹は朽ち果ててしまったようです。

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こんなふうに、巨大な幹は空洞化し左右2本に分かれてしまっています。

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それでもかなりの大きさ。

『  三恵の大ケヤキ    

                                     昭和二年十一月三十日 

                                               国指定天然記念物

県下屈指の大けやきである。 樹齢千年を経るというも推測であるが、相当年を経た巨樹である。 ふるい時代の落雷によって西方はそがれてあるが、子女二十人は充分に入れる空洞をつくっている。

樹高二五メートル、根廻り十七・二八メートル。 目通り幹囲 十四・三五メートル。五巨枝が四方に広がり、折損枝あるも遠くから望んで小山の観がある。』   〔原文ママ〕

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内部は、まるでトトロが潜んでいそうな空洞が・・・。でも、現在は周囲に住宅が立ち並び、荘厳さも今ひとつなのが残念なところ。

それでも見るものを圧倒するオーラは、まだまだあるようです。

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持っていた軍手を、ちょいと置いてみました。改めてその巨大さがわかります。

悠久の年月を過ごしてきたこのケヤキ。どんな世界を見てきたのでしょうね?

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