雲隠れの巻
少し暑さの戻った本日・・・。 このところ気温がぐっと下がり過ごしやすかったのですが、やはりこのまますんなりと涼しくなるはずもなく、いったりきたりが続くでしょうね。
夕方、ちょっと汗ばんだ体を休めるべく高台にでると、久々雲の妙に出会えました。
富士山にかかる傘雲と吊るし雲です。 からっと晴れることが少ない毎日だけど、時折こうした姿を見せてくれます。
富士山に傘雲がかかると天気が悪くなると言われていますので、天気予報を確認してみるとやはり曇りでした。 富士山の見えるところに住んでいる人たちは、こうして富士山の様子でローカル気象予報士をしていたのです。
それでも、かなりの的中率だったそうな・・・。
富士山まさに雲隠れ。
そういえば、源氏物語には『雲隠』という巻(いわゆる章)があります。 不思議なことに、この巻は巻名だけで本文がありません。 空白の章なのです。
これには諸説あって、存在していたものを紛失したのか、またどこかに隠してあるのか、または深い意味があってわざわざ空白としたのかなど・・・。 私の所持している源氏物語の著者は、『もののあわれとともに、源氏の死を秘めたままそっと残す・・・』という余情を込めていたのではないかと推測しています。
つまり源氏の死を直接的に表現せず、雲隠れとして余韻を残したのでしょうと・・・。
しかし、平安時代・・・1000年も前の紫式部という人物が、こうした意図をもってこの巻を書いた(題名だけですが)のなら、並々ならぬ感覚&優れた文章力を持っていたという事となり驚かされるばかりですね。
そんなことを思いながら、徐々に光を失っていく空を見上げておりました。
ふと気が付くと足もとには・・・。
可愛らしい小さな花。
センニンソウが、心地よい風に揺れておりました。











































