4月の降雪攻撃を受けて、なんとなく勢いを失ってしまった桃源郷。 雪の影響ばかりでなく、毎年楽しみにしている桃源郷も年々寂しくなってきたように思えます。
これは、そんな危惧を少しでも減らそうと思い立った、ある男の物語です。 (ずっちゃ♪ ずっちゃ♪ ずちゃずちゃずちゃずちゃ♬ BGMです)

・・・・・・西暦201×年、世界は異常気象に見舞われた。 ここフルーツ王国でも不作が相次ぎ、畑を放棄する者、無理して腰っ骨を痛めて断念するものが相次ぎ、国は求心力を失いつつあった。
南斗卑怯拳の伝承者たろザーは、この混乱に乗じて己が国を統合し、帝王となるべく野心をくすぶらせていた。 だが、彼の前には乱世に野望をかける男たちが、次々と立ちふさがったのである。
まずは南斗来々拳のチョーさん。 来々軒という名前ではないがラーメン店を経営している。 味はまあまあだけど、値段がちと高いぞ! 『あたたたた・・・ 少しはまけろ拳!』 『ひでぶ!』 成敗。
次なるは南斗狡猾拳の使い手モジュラ。 口では立派なことは言うが、自分はなかなか動かない。 前世は『山』に違いない。 『あたたたた・・・ 動かざること山のごとし拳!』 『あべし!』 成敗。
ふうふう・・・。 次は誰だ! 南斗高齢拳のヌボさん。 彼は膝が痛くて畑に出られない。 歩くたびに『あたっ! あたたた』と言っておる。 気の毒なのでそっとしておこう。
わわ! いきなり南斗卑怯拳最大の相手、北斗真剣の正統伝承者ケンイチロウだ! やつは何事にも真剣、真面目である。
『よう、お久しぶり』 『やあ、かせいでるね』 『なかなか暖かくならんねー』 (ちなみに『かせいでる』は、ここらの挨拶言葉で『畑仕事に勤しんでいる』の意)
『何してるでー』 『いや、桃の木の苗を植えようと思ってね』 『おー、いーねー。 でも、サルに狙われそうだな』 『だよねー』
彼とは気が合うので、しばらく話をして別れた。 あ、闘うのを忘れた。 ま、いっか。
うーむ、フルーツ帝国建造への道は遠いが、たろザーは思いつくとすぐ行動するタイプ。 先日桃源郷を見て、自分も桃の木を育てようと思い、早速苗を買ってきたのだ。
しかし、お店でいろんな種類の果物の苗を見て、桃の苗を2本買う予定がついふらふらとスモモ(貴陽)の苗も選んでしまった。 ここで南斗卑怯拳が炸裂してしまったのだ。
桃は『白鳳』という種類。 『スモモ(貴陽)』と『桃(白鳳)』の2本の苗をぶら下げて家路に急いだ。
他にもう1本桃の木・・・これは、一般的にはお目にかかれない『蟠桃(ばんとう)』という種類なので、ネットで購入したのである。 蟠桃は孫悟空・・・西遊記の中の登場人物(猿物?)であって、ドラゴン〇ールの孫悟空ではない・・・が、桃畑の管理人に任命された折り、盗み食いをした桃である。
これは後日届くので、まずは先の2本を植えて、フルーツ国帝王となるのだ!

・・・・・・と、まあ訳のわからないストーリーになってしまったので、『たろザー、フルーツ帝国への野望』は休載します。
ひとまず、苗を2本植えました。 ここは寒いのでうまく育つかわかりませんが、楽しみでもあります。 でも、自分だけの果物の木って、なんとなく魅力がありますな。
今後害虫、病気対策、鳥対策、サル対策など気を付けないとなりませんが、できるだけ手間をかけていこうと思います。
ちなみに蟠桃(ばんとう)は、西遊記(岩波文庫全10巻)の1巻目に登場する天界に実る桃です。 全部で3,600本あり、その内訳は・・・。
・手前の1,200本は3,000年に一度実り、食せば仙人となり道術を会得。
・中間の1,200本は6,000年に一度実り、食せば霞に乗って空を飛び、長寿不老の身に。
・奥の1,200本は9,000年に一度実り、食せば天地と寿(よわい)を等しくし、日月と庚(とし)を同じくする。
というものらしいです。
蟠桃と聞いて、それを思い出しつい欲しくなってしまいました。 こういうものに弱い私、いかんなー。 WEB上の写真を見るとかなり扁平な形をしていますが、現実の蟠桃はどんな味なのでしょうか?
同じ畑に植えてある枇杷の実が、ちょっぴり膨らんできました。 様子を見て、ふくらみのよいものを、ひと枝に2つだけ残して摘果していきます。

いろいろとお楽しみが増えてきました。
