- ダンプ職人?への道 ー
『来てくれ~!』 うーむ、休みなのにやはり声がかかりました。 知り合いの土木建設会社から・・・。
『工期が迫っている現場があるけんど、間に合わん。 頼むわ』 う、うーん。 現場は道路維持の関係。 木を切るくらいならともかく、土木作業はどちらかといえば遠慮したいんだよなー。
でも、意思の弱い私は請われるままに出かけるのでありました。 家の事はどうするの?という声を背中に感じながら・・・。
『そこの4トンに砕石もらってきてくりょー』 『はぁ?』
トラックは3トンまでは乗りやすいのですが、4トン以上は別物。 ふた回りはデカくなります。
4トンダンプとかいいますが、それは積載量を指すことで、車両の総重量は8トン近くまであります。 空(何も載せていない状態)では、ブレーキがめちゃくちゃ効いて、ちょっと強く踏むとガックンとなり首を痛めそうです。
そうとう重い荷を積むことが前提なので、ブレーキもガンガン強化されているのですね。
普段から乗っているならともかく、たまに運転すると狭い道などのすれ違いではかなり緊張します。
端に寄ってくれない(寄れない?)対向車も多いので、左側の壁にギリなこともあります。 大きな車両が対向してくるときは、できるだけ端によけてあげましょう!
なにしろデカいので、あんま運転したくないのが本音。
『こっちきて、下してくりょ』 現場のごちゃごちゃした狭いスペースにバックで寄せなければなりません。
真後ろは見えないし、距離感も掴めないままバック。
『ストーップ!!』 誰かが叫んだところで停めて降りてみると、ユンボ(油圧ショベル)のキャタピラまで、あと5cmでした。 あっぶねー!
私は、ダンプ職人?への道は、いまひとつ合わないかも?
- 型枠職人への道 -
次は 『そこの型枠作ってくれ。 マス(※1)とVS(※2)の繋ぎが曲がっているんで、ちょっとめんどくさいぞ』 『はぁ?』
※1 マスとは水路の途中にある水槽のマスで、水路を分岐したりメンテナンスをするところ。
※2 VSとはVariable Slopeの略で、自由勾配側溝という側溝の形態のひとつです。
型枠は、コンクリートを流し込んで成型するために、強度や正確さが求められます。 私なんかが作って知らんぞ~と思いながらコンパネを切っていきました。
せめて誤差は5ミリ以内にしたいもんだと、丸ノコを走らすのに集中。 切ったコンパネを組み合わせ、桟木で補強。
なんとかできました。 鉄筋と、その溶接はベテランの職人さんが行って、あとは生コンを流し込むだけ。
いい加減に作ってあると、生コンの重さに耐えきれず型枠が分解することとなります。 コンクリートの比重は2.3。
同じ体積の水の2.3倍の重さとなりますので、甘く見てはいけません。 恐る恐る見守っていましたが、なんとか無事施工することができました。 やったね V
しかーし、素人同然の私がこんな工事に関わるとは、世の中やはり深刻な人手不足なんですな。
パソコンとにらめっこしている普段の仕事とは、かけ離れた世界だわい。 でも、型枠職人にはならんぞ。
とにかく、今日のスケジュールは早く終わったので、おらあ帰らせてもらうよ。
- タロゴンへの道 -
家の掃除を少しずつやっていますが、懐かしいものを見つけました。
『あちょー! わたー! うわっちょー!』
子どもの頃、ブルースリーに憧れ、それから北斗の拳、ジャッキーチェンなどの影響もあり、30代前半まで続けていた少林寺拳法。
その胴着が、押し入れの中からでてきました。
わお、あの頃の情熱と、若いエネルギーに満ちていた記憶がよみがえりました。
一般的に知られる少林寺と、少林寺拳法とはまったく別なものです。 創始者の宗道臣が中国に広まる様々な技を会得し、それを体系化して 『人づくり』 を根底にした教えと共に日本で開いた武道です。
突き、蹴りを主にした剛法、関節技などを使う柔法、整体などを行う整法から成っています。
しかし、関節技をかけられたときのあの痛み、耐えきれるものではありません。 でも、そのうちその痛みが、なんとなく快感になっていったような・・・(^-^;
また2人で行う乱捕りなどでは、つい熱くなって本気に近くなることも。 その時はアドレナリンがダバダバ放出されているので感じませんが、後になると打撲だらけでイタイイタイなんてこともしょっちゅうでした。
いつも前腕は不格好に腫れてぼこぼこ、あちこち青アザ、足は引きずっているなんてこともあったなー。
一応目指していた黒帯までいきましたが、その頃からあまり熱くならないようになりました。 人間の強さと弱さを学んできたからでしょうか?
乱捕りや試合用につける胴。 徒手空拳が基本だけど、それだとどうしても相手を気遣ってしまうし、またケガをしたりさせたりするので危険。
これを付けていれば、遠慮なく?ではないけれど、少なくとも内臓へのダメージは避けられます。
入門してくる子供たちへのテキスト。 そういえば、あんときのクソ生意気なガキは、今どうしているんだろうな。 いびってごめんね!
そのうち仕事に忙殺されるようになり、いつしか少林寺拳法から離れていきました。 でも、人生の中で熱くなれた一時であったことは間違いありません。
タロゴンへの道 は、思い出として途切れていたのでありました。