『ヘルメット・ブルース Ⅵ』
土木作業員のバイトは、新しい局面へ。 今度の仕事内容は、河川敷の樹木の伐採となりました。
水害に備えての安全対策のひとつ、河川にはびこっている雑木を撤去するのだそーな。
しっかし、ここは見晴らしのいいところで、盆地を囲む山々が遠く見通せます。
パールのように輝く、北岳、間の岳、農鳥岳の白根三山。 ちなみに北岳は日本で2番目に高い山です。 間の岳は4番目。
こちらは八ヶ岳。 遠くから見るとなだらかに見えますが、近づくにつれ荒々しい山容が姿を現します。
・・・と、のんびり眺めている場合じゃない、仕事だー。
『おい、たろ君。 君はチェーンソー頼むわ』 『ふゎ~い』
スチール社のチェーンソー。 スチール社はドイツのメーカーで、世界中で根強い人気があります。 ちょっとお値段高めかな?
このメーカーのを扱うのは初めてなんで、どんな塩梅だろ? って気になりました。
燃料、チェーンオイル、チェーンの張り、エアフィルターなどを点検してからおもむろに始動。
うっしゃ! プスン。 あら? よっしゃ! プスン。 あららら? かかんないぞ??
しばらくリコイルスターターと格闘した後、ようやく始動しました。 爆音を上げて木を切り初めます。
お、切れ味いーんじゃない? チェーンだけは新品なんで、サクサク切れます。
でも、チェーンソーでは 『たろ作は木を伐る~♪ へいへいほ~♫』 などとのんびり歌っていることもできません。
ブイブイ切れてしまうので、
『倒れるぞっ♪』 『へいへいほっ♫』 『倒れるぜっ♪』 『ほいほいさっ♫』
と、16ビートくらいになってしまいます。
しかしニセアカシアばっかりだなあ。 こういう荒地でも、ぐんぐん成長するとは、さすがパイオニア植物だわい。
ニセアカシアのヤバいところは、なんといってもこのデカくて鋭いトゲ。 うっかり幹に手を置いたりすれば、グサッときます。
『あたたたたた!』 北〇の拳のケンシロウに負けないくらいの雄叫びを上げそう。
作業中、なんか足がちくちくするな~と思ったら、長靴を突き抜けこのトゲが刺さっていました。 丈夫な長靴だったので小さな穴が開くくらいで済んだけど、スニーカーなどでは足にまで穴が開いちゃうよ。
このチェーンソーは、重量が4.7kgくらいかなー。 私にはちと重い方です。 木を切るごとに、だんだん腕がくたびれてきます。
万が一、足元に落としたら大事につながりかねませんので、時々腕をぐるぐる回して筋肉をほぐします。
伐採作業は、事故率が格段に高いです。
キックバックによる自損のほかに、木が倒れる方向が急に変わってぶつかったり、倒した木が思わぬ方向にバウンドして下敷きになったりと、危険がいっぱい。
しかしスゴい量だわい。 樹木は切るよりも片付けが大変です。
休憩しながら飲むお茶が美味しい。
屋内で座ってする仕事も、こうして外で作業する仕事もそれなりにキツいですが、暖かい日差しのもとで手足を伸ばして寝ころぶことができるのは、外仕事の特権かな?