雑草という名前の草はない・・・。 なんて、言葉がありましたね。
確かにそうだけど、毎年毎年草刈りに追われ、度々ヒットポイントを削られていると、やはり雑草は勘弁してほしいなあ・・・。
雑草の意味として
① 農耕地に発生し、作物の生育に影響を及ぼす草本植物。
広くは空き地、路傍などに生育する野草も含める。
② 生命力・生活力がたくましいことのたとえ。
講談社『日本語大辞典』より
とにかくたくましく育って、放っておけばすぐに緑の大地に変えてしまう。 すぐに結実して、あれよと広がってしまう。 それが雑草のイメージ。
「おらんとこへ、種が飛んでくるじゃん」などと言われることもあり(これが一番キツい?)、ゆえに半農家として私は雑草との戦いを強いられ、かつ熱中症とも戦わなければならないのです。
ま、一口に雑草といっても、様々な種類で構成されています。それぞれがまた、勢力争いをしているのでしょうね。
そう、雑草の世界も侵略、作戦、知力・・・等々。 魅力・迫力あるドラマが繰り広げられているんです。まるで、映画のようではないですか
映画といえば、アカデミー賞。 我が家の畑の『雑草アカデミー賞』は、
【作品賞】 スギナ
春先のツクシのかわいらしさに騙されてはいけない。つくしんぼなどといって、愛らしくも親しみやすい姿が消えると、すぐにスギナとしてよみがえってくる。
地表に表れている期間が非常に長く、さらに地中深くにしっかり根を張っているので抜いても抜いてもすぐに復活し壊滅は困難を極める。
まるでゾンビのようである。

【主演男優賞】 スズメノテッポウ
銃を撃ちまくるアクション大作のようなネーミング。 水中だろうが陸上だろうが(水田や畑)おかまいなく突き進むたくましい漢(おとこ)を好演している。
ただ、その敵組織がスズメなので、やや迫力に欠けてしまうのが惜しい点か。
しかしテッポウという文字のごとく骨太感のある容姿に、なかなか引っこ抜けないがっちりした根。かなりのタフガイ。
【主演女優賞】 メヒシバ
最初は目立たなく横に広がり、そのうちめきめき立ち上がってきて、オバQの髪の毛のようなちょぼちょぼした穂を伸ばす。
その繁殖力はすさまじく、あっという間に畑一面を覆ってしまう。 荒涼感あふれる世界に変えてしまうパワーは一級品。
【助演男優賞】 ワルナスビ
ネーミングからしてワルっぽい。 しかし悪役としても決してボスキャラにはなれず、あくまで中ボスである。
しかも、陰でひっそり咲かせる花は意外と可愛らしい。
うーむ、憎めないワルだ・・・。
【助演女優賞】 ヒメジョオン
姫という華やかな名前が付いているが、お城ではなく巷に出没する。 ガーリーなふわふわした綿毛の種を大量に飛ばす。
【撮影賞・外国語映画賞】 セイヨウタンポポ
みるみる在来種を駆逐し、いまやタンポポといえばこれを差す! その綿毛を私は何度吹いて遊んだのだろう・・・・。
そう、陰ながら彼らの繁殖に一役買ってしまっていたのだ。 でも、群生すると花も綿毛も結構画になるんだなー。
【音響編集賞・音楽賞】 カタバミ
触れるとパチパチ、プッチンという小さな音を立てて種を撃ってくる。意外と心地よい音に聞こえる不思議さがある。 葉の色が赤紫色もあれば緑色もあり、赤いのはアカカタバミというそうだ(そのままの名前ではある)。
種を発射するパワーは強力で、ゆうに1mは飛ぶといわれる。 畑間弾道ミサイルを装備しているのである。
【美術賞・編集賞(変臭賞)】 ドクダミ
フェミニンな清楚かつ美しい花を咲かせ目を引くが、なんか臭い。ところかまわずはびこり、かなりのふてぶてしさも併せ持つ。
【脚色賞】 ノボロギク
思えばかわいそうな名前である。 綿毛がボロのように見えるからボロい菊。
でも、気の毒なんて思ってはいけない。 繁殖力が強力で毎年領土を拡大しつつある。
まるで、かつてのローマ帝国のようである。
ボロを纏った皇帝なのだ。
【視覚効果賞・衣装デザイン賞】 スベリヒユ
ちょっと毒々しく見える茎の色。まるでミミズが這いまわるようなおどろおどろしいVFXが見どころ。
リヒテンベルク図形※注1 のように広がるのもまたアバンギャルド。
【メイク・ヘアスタイリング賞】 エノコログサ
『猫じゃらし』などと、昔から親しまれてきた・・・というか、それが普通の名前だと思っていた。
ユニークなデザイン、かつ遊び心をくすぐるキャッチーなアイテム。 カラーもグリーン、バイオレット、ゴールドと豊富。 猫ばかりか犬もじゃれる。
【特別賞】オオアレチノギクとヒメムカシヨモギ
双子のように似ていて私には区別がつかない。棟目に見ると、まるで妖精が飛ぶような柔らかでかつ華やかな草原に見える。
しかしその実態はかなりワイルドで、石垣の隙間も定員オーバーなのに無理やり生える。 背丈もがんがん伸びて、2mに達することも・・・。群生している中に入り込むと森に迷い込んだような錯覚を覚えてしまう。
まだ小さいうちに引っこ抜くと、根がすうっ~と抜けるのがここちよい。 成長すると生半可な力では抜けなくなる頑健さを秘めている。
他部門 該当なし
以上、第一回雑草アカデミー賞でした。ふう・・・。
最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。
※1 リヒテンベルク図形
雷が通ったあと(絶縁破壊)のような図形のこと。 樹木のようにも見え、芸術性が高い?